|用途| 飲食店
|場所| 東京都新宿区
|構造| RC造(改修)
|延床| 90m2
|竣工| 2018
|撮影| 淺川敏
|受賞| 四国化成デザインコンテスト2018 銅賞
東京・四谷 荒木町にある「季旬 鈴なり」の2店舗目として計画したものである。計画地は東京四谷三丁目のテナントビルの一階。
このエリアは三角形・台形の形のした建物が多い。
もともとの路盤の目である下町区画をマッカーサー最高司令官が建設を命じ、都市計画の軸線を「道路」で分断したことによって四角い建物が三角形にせざるを得ないという町の歴史がある。
今回の計画は、この三角形のテナントビルのワンフロア分を改修し、設計したもの。
最初に、昔の町並みの都市軸に対し、新たな都市計画によって切り取られた断面を最大限に生かしたデザインを行おうと思った。
このビルには昔の町並みの都市軸によって描かれる方向性と、新たな都市計画によって切り取られた道路と並行となる軸の2つが存在している。
その2つの軸によって生まれる四角形のスペースと三角形のスペースに、いくつかの居場所を作り出すことを考えた。
一見無理難題な三角形という平面に対し、空間を広く見せつつ、ご飯やおしゃべりを楽しむお客さんのプライベート領域を緩やかに確保するために、三角形の軸線を用いて設計を行った。
三角形という幾何学には、「3つの方向性」が存在する。
お店として、バリエーションのある居場所を作り出したいと考えた。
そこで、三角形の三辺にカウンター席・ベンチ席・半個室と、それぞれ異なる性質の居場所を配置した。
ワンルームでありながらも、この三角形という形が持つ3つの方向性を、座る人の体の向きや視線という方向性に置き換える事によって、各々の視線の干渉を避けるようにし、ちょっとしたパーソナルスペースを作り出した。
新たな都市計画によって切り取られた断面と昔の都市軸によって生まれるフロア中央に生まれる空間には、いびつな三角形の一片の角度に並行配置した正方形の照明を配置することで、空間の方向性を緩やかに曖昧にするとともに、このビルが持つ都市計画の歴史でしか生み出せないデザインを創出している。
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